事業報告

平成23年度 第2回研修会

基調講演「東日本大震災に関する福島県の現状と課題」

  福島県災害対策本部事務局次長  古市 正二

・いろんな問題山積。採石場問題は、4月22日計画的避難区域設定前に砂利を

 出荷したものが、それを使ったマンションから高線量が出た。原子力関係職員

 はモニタリングしているが、どこまでやったらいいかという厳しい状況であ

 る。1000件ぐらい出てくるかもしれない。民間が追いつかない。
・震災に関し、種々ご支援いただき感謝。復興にむかう。ボランティア団体等の

 ご支援のおかげ。
・本県約2000名の死者。これまで災害の少ない県と言う自負があり、自負が油

 断につながった。過去、1611年会津慶長地震で大きな被害。400年ぶりの大

 災害である。津波浸水予測ハザードマップを作ったが、その10倍の津波が来

 て対応できなかった。反省点多々。
・初動対応 ①災害対策本部:福島市は震度6弱。庁舎にひび割れ、天井の一部

 落下で1週間程度使用不能。自治会館に災害対策本部設置。②情報伝達手段:

 行政無線(総合情報ネットワーク)が十分機能せず。自治会館には2回線しか

 なくて十分機能しなかった。双葉地方への伝達がうまくいかなかった。 
・県民も我々も初めてで、ばらばらに行動してしまった。
・北海道から沖縄まで掴んでいる数字だけで6万人、県外に避難。
・原子力災害:福島第1原発の事故の経過と避難指示の状況

 11日   地震 多津波警報 第一波4M 第二波14M 
       福1が原災法10条通報(異常な事象)交流電源 
       1時間後には原災法15条通報(緊急事態)ECCS不能の通報
 12日5時 福島第2でも1・2・4号でも15条緊急時態通報

       圧力抑制機能が喪失 15時36分福1で1号機水素爆発 
 13日   3号機冷却緊急時通報 機能喪失 
 14日   3号機爆発 15日早朝4号機水素爆発 2号機爆発音・・・。
      ・こういった事象を受け、避難指示が続々政府から発せられた。
 11日19:03 福2緊急事態宣言発令 
    20:50 県で半径2キロ圏内避難指示。

          その後政府3キロ圏内避難指示。10キロ屋内退避指示。
 12日   避難指示が10キロに拡大。福島第2でも3キロ圏内避難指示。
 15日   福島第1に20~30K屋内退避指示。避難範囲が拡大。
・とりあえず避難した方がいい?と避難。軽装備で出てしまった。各地のスクリ

 ーニングで高いと衣服を脱いで計りなおしたが、着替えがなかったなどいろい

 ろ問題があった。マニュアルが必要だった。強く言うとあわてる、日頃の訓練

 からマニュアルがあるべき。
・だんだん避難指示拡大、爆発があったなどいう情報はテレビが一番早かった。

 テレビを見て、そこからあわてだした。整然とした避難は難しかった。
・未だに浪江の町長には、「県から指示がなかった」とお叱りを受ける。
 職員メモでは伝達したと残っているが、だれがだれに伝達したかと言うことが 

 書いてないので証拠になっていない。首長には直接言うべき。極めて整然とし

 ない退避だった。
・計画的避難区域設定。4月22日。国際的な放射線防護の基準値は、積算20mm

 ~100mmシーベルトになる地域。避難区域 3.8マイクロシーベルト/時。

 飯館・川俣・南相馬市も指定。年間20mmシーベルトは各方面から高すぎる

 との意見がある。1mmシーベルトにすべく除染。国際・国の指示で20mmシ

 ーベルトにしている。チェルノブイリ1986年事故のときは、100mmシーベ

 ルトを徐々に下がって5年目に20mmシーベルトと、段階的基準。今回は初め

 から20mmシーベルト。
・プラント:冷却装置から水漏れとのニュース

 ※1:事故終息のステップ2冷温停止完了・・・周りは100度以下。窒素充て

   んで爆発しないように措置。汚染水問題は各方面から指摘されている。
・資料3:除染対策「0.23μシーベルト以下にする目標」

 原子力災害対策措置法 特定地域「双葉8町村と計画的避難区域は国がやる。

 その他は市町が望めば支援」という対応。
・除染計画策定:40市町村のうち26が策定済み。仮置き場の確保が困難

 住民合意が得られない。市町村と一緒に対話集会などに出向いている。放射能

 に対する懸念が深い。行政が「大丈夫」と言っても、なかなか理解を得られな

 い。
・除染予算:国の2次補正の予備費2709億円。1843億円を県民健康管理基金に

 積み立てて対応。次年度は拡大査定中。
・除染推進:事業者等の育成、技術支援の強化、住民理解の促進…がポイント。
・作業従事者に勉強してもらう勉強会開催。地域で町内会のリーダーの方に、測

 定方法や注意の「除染講習会」開催。3000人ぐらい受講。
・技術支援:除染情報プラザ設置(現在はネット上。2月には事務所開設した

 い。)日本原子力学会、JAEAの協力。情報提供、ボランティア派遣などを、

 市町村・町内会の要請でマッチングしたい。 
・線量低減化対策:通学路など、別途補助事業(上限50万円)、高圧洗浄機や

 袋を買う補助。県内6000団体を予定。手引き作成。
・面的除染モデル=大波地区 10ha指定でモデル事業実施。国では警戒区

 域、計画的避難区域などでモデル事業。
・除染技術:ローテク、高度な技術がない。公募して実証実験。いいものは活

 用、全国からいろんな提案を受けている。
・フォーラムや対話集会開催。ICRPなど100mmシーベルトが癌の発生率高ま

 るという説明で、それ未満はデータがないと言われ、その中で活動している

 が、現実、県民からの声は厳しい。1mmシーベルトを下回るように、帰還困

 難区域以外の居住をめざす。避難指示解除区域、居住制限区域。
・中間貯蔵施設はまだ決まっていない。廃棄物対策は、汚泥を測ると大したこと

 ないが、焼却はいやだと住民の拒絶で、汚泥はたまる一方。
・課題:除染活動の推進。災害廃棄物の処理。帰還に向けた動き・・・。国、県

 一緒に、市町村の意向を伺っている。市町村では賠償も含めての対応など求め

 られる。2年後20mmシーベルトを下回るのは困難。将来的に公的に土地買い

 上げなど、調整も困難を極めることが予想される。
・風化を憂う。法で枠組みをしっかり作ってほしい。地方公共団体の自主性を尊

 重し、そのうえで国の取り組みを。
・初動の問題点など、市町村にアンケートとって調査中。
・原子力に依存しない持続可能な発展を目指す。長期の取り組み。ボランティの

 皆様に感謝。絆、コミュニティ再生、除染などご支援賜りたい。

 

Q 東電収束宣言。しかし実際にはかなり高い線量の地域があるのでは? 
A 過去の線量ではなく、現在出ている線量を基準に考えている。
Q 除染、ボランティアに講習しているが、県外ボランティアへの受講は企画し

 ているのか? 
A 今のところ地域のみ。手が回っていない。次年度、作業員の現場監督対象。 

 できれば一般ボラ対象講習に参加していただければありがたい。
Q 美浜も立地地域である。原発、東北各地津波で建築制限があり女川は16メ

 ートル制限。福島はほとんど平地だが制限は?
A 5.2mの津波を想定して立地されていて、新しい基準で5.7mに。しかし今

 回の14mには対応できなかった。